いまだに日本企業の約4割は、「創業家一族」が株式の10%以上を握る同族経営という事実がある。しかも、昨今時々報じられているように、トヨタやサントリーといった世界的企業こそ、創業家への先祖返りをしているのだ。
そして今、日本を代表するファミリー企業はどう“代替わり”していくかという岐路にある。それは、日本経済の今後を左右する喫緊の課題なのだ。
現在、取締役などに創業家出身者が名を連ねており、今後社長になる可能性がある企業20社をリスト化(別掲)した。
大手ゼネコンでは「鹿島建設」と非上場の「竹中工務店」の名前が挙がっている。企業経営者を多数取材する雑誌『経済界』の編集局長を務める関慎夫氏が解説する。
「竹中工務店は3月に社長交代がありましたが、創業家の竹中勇一郎常務の社長就任は見送られ、関西方面に強い佐々木正人専務が就任しました。今回は2025年の大阪万博や、大阪が名乗りを上げているIR(カジノを含む統合型リゾート施設)の受注を狙いにいったと見るべきでしょう。竹中工務店は非上場企業なので、株主としての権限を握る竹中家はいつでも創業家に社長交代できる。タイミングはそう遠くないはずです。
鹿島は創業家の社長候補が2人いて、やや複雑です。2人とも“中興の祖”と称される故・鹿島守之助・元会長の孫で、それぞれの父親(鹿島家の娘婿)が同社社長を務めた。現在は創業家ではない押味至一社長が務めている。今後の動向が注目されます」