フルーツは完熟、もぎたてがいちばんおいしいと、食品ジャーナリストの手島奈緒さんは言う。だとしたら──もいですぐに食べられる“果物狩り”でしょ!
「私たちがスーパーや青果店などで買うフルーツは、熟す前に早採りされたもの。フルーツは本来、熟したものがいちばんおいしく、栄養価も高いのですが、それではすぐに傷んで売れなくなるので、こういったシステムが取られているのです」(手島さん・以下同)。
つまり私たちは普段、最もおいしい状態のフルーツを食べていないことになる。
「フルーツ本来の味を楽しめるのが果物狩りの醍醐味。もぎたての香りまで堪能できるのは果樹園だけです」
果樹を傷つけず、もいだら全部食べるなどのマナーを守り、虫除けスプレーや飲み物を携帯して“狩り”に挑もう。
◆不知火(しらぬい=デコポン)狩り:古屋園(静岡県)
静岡県伊東市宇佐美は童謡『みかんの花咲く丘』の舞台。駅の西には、歌の通り小高い丘が続き、東には青い海が広がる。そんな宇佐美駅から徒歩約10分の場所にあるのが、柑橘系果樹園の古屋園だ。
3月中旬からゴールデンウイークにかけては、不知火(デコポン)をはじめ黄金柑、甘夏などが採れる。さらに、10~12月には早生みかん、11~5月にはレモン狩りも楽しめるという。
「この界隈で春に不知火狩りができるのは珍しいんです」
そう話すのは園主の浜崎元洋さんだ(以下同)。
「今の時期に店頭に並んでいる不知火は、伊東地区だと1~2月に収穫されたもの。採ってから時間がたつと、甘く感じる半面、本来の酸味と香りが抜けてしまいます。うちの園では寒さ対策をしっかりしているので、この時期まで収穫ができます。もぎたては酸味も甘味もしっかりあり、香り高くてみずみずしいですよ」
浜崎さんが糖度計で不知火の甘さを測ると16.6度に。これはりんごや梨の甘さにも匹敵する。有機農法と減農薬にこだわり、県のエコファーマーにも指定されているので、子供たちに人気のキンカンも安心して丸かじりできる。
持ち帰りは不知火1個200円、甘夏1個100円、黄金柑1kg500円。運がよければ、収穫時にキズのついた新品種やB級品が、通常より割安で買えるのも魅力だ。
●古屋園
住所:静岡県伊東市宇佐美1199
営業時間:8~17時
定休日:シーズン中無休
料金:不知火狩り食べ放題800円(子供400円)、黄金柑狩り食べ放題500円(子供300円)、甘夏狩り食べ放題300円(子供200円)ほか、持ち帰りは別途料金。
◆甘夏みかん狩り:観光農園 南楽園(大阪府)
約3万6000坪という広大な敷地の中で、できるだけ農薬を使わず、有機肥料で果物を育てている観光農園。
6月上旬までのこの時期は、甘夏みかん狩りが楽しめる。品種は酸味が少なく糖度が高い「川野夏橙」。時間制限はないので、自分のお腹と相談しながら、食べたいだけ食べられるのが魅力。はさみを使わなくても、手で簡単にもげるので子供たちだけでもでき、園のあちこちから楽しそうな声が上がっていた。
お弁当の持ち込みもOKだが、入園料と甘夏みかん狩り、焼肉がセットになった「焼肉セット」(大人2800円・小人2100円)がお得。
果物狩りを楽しんだ後は、ミニフィールドアスレチック(入園料のみで利用可)や釣り(別料金が必要)などもあり、一日ゆっくりと過ごせる。
●観光農園 南楽園
住所:大阪府堺市南区別所1457
営業時間:10~16時(6・7・8月10~17時)
定休日:火曜日(祝日の場合は翌平日)
料金:入園料3~9月=300円(子供250円)、10月上旬~12月中旬(みかん狩り料金含む)=900円(子供700円)。甘夏みかん狩り600円(子供500円)、いちご狩り4月上旬~5月10日=1500円(子供1200円)・5月11日~6月中旬=1200円(子供1000円)*そのほか季節・果物によって異なる。
撮影/浅野剛、WEST
※女性セブン2019年5月9・16日号