初潮を迎えて以降、女性の体は一生を通じて、ホルモンの変動の大きな影響を受け続ける。それでも日々の仕事や家事は体調とは関係なく押し寄せる。そんな時、一時的であっても体を楽にしてくれる薬に頼るのはよくあること。20代からずっとおなじみの錠剤をピルケースに入れて持ち歩いているという人も多いはずだ。
都内の主婦、Aさん(52才)が語る。
「頭痛や便秘とは20年以上のつきあいで鎮痛剤と便秘薬が手放せません。さらに、先日の健康診断で脂質異常症の気があるといわれ、コレステロール値を下げる薬が処方されたところです。しかも最近暖かくなったのに冷え症もひどくなっているので、漢方も試そうと思っています」
しかしそれらの不調、症状を緩和してくれるはずの薬が“犯人”である可能性があるという──。
◆便秘薬を1回何十錠も服用
多くの市販薬はドラッグストアでいつでも購入でき、テレビCMでも見慣れているので、気軽にのんでしまいがち。だが、『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂新書)の著者で、薬剤師の宇多川久美子さんは「特に女性は服用に慎重になった方がいい」と指摘する。
「基本的に男性よりも体が小さいうえ、女性には胸や子宮周辺を中心に脂肪が多くつきやすい。薬の成分には『脂溶性』といって脂肪にたまりやすい特性を持つものが多いため、“成人は1日何錠”と服用量が定められている市販薬であっても、男性より成分が体に蓄積しやすく、副作用や悪影響が出やすい傾向があるといえます」
市販薬には服用上の注意が書かれた「説明文書」が添付されている。目を凝らして読むと、多くの市販薬には次のような一文がある。
《3日間服用しても症状の改善が見られない場合は服用を中止してください》
《症状の改善がみられても2週間を超えて服用する場合は、医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください》
一部の市販薬には、次のように強く諫める文言もある。
《2週間を超えて続けて服用しないでください。重篤な消化器疾患を見過ごすおそれがあります》
できれば薬をのみ続けてもらった方がもうかるはずの製薬メーカーが自らそう明示するのだから、一部の薬の「長期服用」がいかにヤバいかがよくわかる。
ところが、そうした注意喚起を見逃して、「のんだら調子がよくなったからのみ続けている」「なかなか症状が改善しないからずっとのんでいる」という人が少なくないのが実際のところ。一部の薬は、「成人は食後に何錠」といった用量を守っていても、長期連用によって深刻な悪影響を招くことを知っておくべきだ。
◆鎮痛剤
2800万の日本人が苦しむ腰痛。患者の男女比は4:6で、女性の方が多い。筋力が弱いことや閉経後に女性ホルモンの分泌が減って骨が脆くなることなどが理由とされる。また、片頭痛を抱える男性が3.6%なのに対し、女性では12.9%と約4倍に上る。生理痛はいわずもがなだ。