これから待ち受ける「年金大減額」により、一人ひとりの受給者が“賢いもらい方”をする重要性は増している。問題は、年金の各種申請書や届け出は複雑で「記入漏れ」や「申請ミス」が起きがちなことだ。
特に間違いが多いのが、毎年9月頃、年金機構から年金受給者に送られる「扶養親族等申告書」。扶養家族の人数、所得を記入して返送するが、この書類の記入ミスや提出漏れが、翌年の“大増税”を招くケースがある。注意が必要なのが「配偶者の所得額」だ。“年金博士”こと社会保険労務士の北村庄吾氏が語る。
「この『所得』は、収入から公的年金等控除などを引いた金額のこと。65歳以上の妻で収入が年金で年120万円以下、副業の給与が年65万円以下といった場合、所得は“0円”と記入しますが、年収額を書いてしまうと配偶者控除が受けられなくなるケースがあります」
書類そのものを出し忘れるとさらに深刻だ。北村氏の試算では、夫(65歳)の年金が220万円、妻(65歳)が基礎年金だけの78万円の場合、配偶者控除の38万円がなくなるなどして所得税が約15万円も増額される。
「記入ミスや提出忘れの場合は、税務署で確定申告をして還付を受けましょう」(北村氏)
とにかく、年金に関しては、細やかなチェックが必要である。
※週刊ポスト2019年5月3・10日号