令和元年を迎えて祝賀ムードに沸く日本だが、お隣・韓国の反応は冷ややかだ。新聞各紙は国書からの元号選定を「天皇を中心としたナショナリズムの強化」と警戒し、文喜相・国会議長による「天皇の慰安婦への謝罪要求」まで飛び出した。一体どうしたらこの国と付き合えるのか──新時代の日韓関係を構築するために日本ができることは、「等身大の韓国」を知ることではないか。“よそゆき顔の韓国”と“素顔の韓国”のギャップを理解することが、新時代に両国が向き合う第一歩となるはずだ。
が、韓国で“本当のこと”を伝える難しさが、また一つ露呈した。今年3月から韓国の小学校で使用されている国定の社会科教科書から、「漢江の奇跡」に関する記述が削除されたのだ。
「漢江の奇跡」と言えば、1960~1980年代の韓国の経済成長を語る上で外すことのできないフレーズで、改訂前の教科書では〈この期間に経済が急成長した韓国は、世界の多くの国から漢江の奇跡を成し遂げた国と言われた〉と記載されていた。
この成長を支えた最大の要因は、日韓基本条約(1965年)に基づく日本からの5億ドルの経済支援である。
「確実に文在寅政権の意向でしょう。革新政党である文政権にとって、李承晩政権から朴正煕政権までの保守政権時代の成功は認めることができないからです」
そう語るのは、『韓国「反日フェイク」の病理学』(小学館新書)の著者でノンフィクションライターの崔硯栄氏だ。文政権は保守政権下の政策や親日派の功績を見直す「親日積弊清算」を掲げており、教科書の改訂もその一貫だとみられる。
「こうした不都合な事実を隠蔽する姿勢は、現政権に限ったことではありません。メディアから教科書まで、時に捏造してまで真実を覆い隠そうとするのが韓国の悪癖です」(崔氏)
※週刊ポスト2019年5月17・24日号