全国各地で広がりを見せているキャッシュレス決済。地域によって特色がそれぞれありました。
楽天は今年1月、自社グループのチームが拠点とする野球場『楽天生命パーク宮城』(宮城・仙台市)と、サッカー競技場『ノエビアスタジアム神戸』(兵庫・神戸市)で、完全キャッシュレス化を開始すると発表。入場チケットや飲食、グッズなどの決済は、「楽天ペイ(アプリ決済)」や「楽天Edy」、「楽天カード」を含む各種クレジットカード・デビットカードでの支払いとなる。
ほかにもソフトバンクでは『福岡 ヤフオク!ドーム』が今年3月から「PayPay」を導入。2019年公式戦期間中、支払い額の最大20%のPayPayボーナスの付与や、開幕3連戦での生ビール半額などお得なキャンペーンを充実させて、話題を呼んだ。
福岡といえば、「キャッシュレスFUKUOKA」を掲げ、昨年6月から公共施設などで、スマホ決済の実証実験を実施したことも話題に。特に観光客で賑わう屋台での導入は、これまで多かった中高年層の利用客だけでなく、20~30代の新規顧客数を広げたという。そのキャッシュレス方法というのがQRコードの適用。屋台で飲食をした客はプリントされたQRコードを読み取り、支払い金額を打ち込めば決済が完了する。
「屋台の場合、店主ほかスタッフも少人数で営業を行うケースが多い。会計時には調理、配膳、会計をともに行うという状況なので、お客様を待たせしてしまうことが多かったのですが、その時間を短縮するメリットがあります」(福岡市経済観光文化局担当者)
今年3月の実証実験終了後も、空港や商業施設など約600か所でスマホ決済の継続利用ができ、ほかにも多くの場所で導入されている。大阪・松原市にある無人野菜直売所『YACYBER store』では、店内の壁にQRコードが表示されたパネルが並ぶ。客はあらかじめ登録したアプリを使い、購入したい野菜や果物の上にあるQRコードを読み取って決済へと進む。支払い方法ではキャリア決済、「LINE Pay」などが人気だという。
「無人野菜直売所ではお釣りが出せないという不便がありましたが、財布を持たなくても気軽に買えると、近所の幼稚園にお子さんを送迎した際、利用される主婦のかたも多いんです。また、生産者が遠隔操作で値段を下げることもできるため、売れ残りが減り、無駄な廃棄も解消されました」(唐澤太郎代表)
そのほか、千葉・木更津市では地元専用のQRコード決済『アクアコイン』を独自に発行。地元スーパーや病院、ホテルや商店、神社のお賽銭でも利用ができるほか、地域のボランティア活動等でのポイント付与を行い、地域経済とコミュニティーの活性化を図っている。
※女性セブン2019年5月9・16日号