全33競技・339種目が行われる東京五輪2020。その中で五輪初お目見えとなるのが、「空手」「スケートボード」「バスケットボール3×3(スリーバイスリー)」「サーフィン」「スポーツクライミング」の5競技。あまりなじみのない競技でも、実はメダルが期待される日本人選手がいる分野でもある。基本のルールと見どころを頭に入れておこう。
◆『空手』→“形”の男女は、最も金メダルに近い!?
東京五輪初採用の空手は日本のお家芸。だが、「実は競技者が世界中にいてライバルも多いんです」と、スポーツライターの青島健太さん。
「東京五輪では形と組手が行われ、形は単独で演武を競うため、体調不良でもない限り、圧倒的な世界チャンピオンである、喜友名諒選手と清水希容選手が金メダル確実といわれています。その迫力と目をみはるような俊敏な動き、技のキレと力強さは圧倒的」(青島さん)
【ルール】形は、世界空手連盟(WKF)が認定している98種類の中から、1つの演武を選んで1人ずつ行い、審査員の採点で勝敗が決まる。組手は突きや蹴り、打ちでの獲得ポイントの多さを競う。試合時間は男子3分、女子2分。男女ともに体重別に3階級がある。
◆『スケートボード』→世界王者をはじめ、有力日本人選手続々!
「世界王者の堀米雄斗選手をはじめ、昨年の平昌五輪のスノーボード・ハーフパイプの銀メダリストである平野歩夢選手が、スケボでも五輪出場を目指していることでも話題です」(青島さん)
【ルール】前後に車輪がついた板(ボード)に乗り、技の難易度や高さ、スピードなどを男女別で競う。競技は、湾曲した滑走面を組み合わせたコースで行う「パーク」と、街中の階段や縁石、斜面などを模したコースで行う「ストリート」がある。
◆『バスケットボール3×3』→人気急上昇のストリート系バスケ
公園でのバスケ遊びが源流の3人制バスケットボール。日本の世界ランキングは男子4位、女子7位(4月25日現在)でメダルも狙える。
「ボールを持って12秒以内にシュートしなければならず、短い時間でどんどん攻撃し合うので、とにかくスピーディー。代表候補にはプロリーグの選手や一般人もいて、その多様性も魅力」(青島さん)
【ルール】試合は10分間で得点が多い方か21点先取した方が勝ち。1チームは控えも含め4人構成で、交代は何回でも可。
◆『サーフィン』→海相手に、ダイナミックな波乗り技を競う
サーフボードに乗って波に乗る競技。波に応じて空中に飛び出して着水する「エアリアル」や、ターンで扇状に水しぶきが上がる「スプレー」などの技を競うのだが、スピードがあり、いかに力強くライディング(波に乗っていること)するかがポイントだ。
「会場の釣ヶ崎海岸(千葉県)は日本のサーファーにはおなじみの場所。地の利が物を言う競技なので、日本人選手にも充分チャンスがあります」(青島さん)
【ルール】使用するのはショートボード。2~4人で海に入り、20~30分の制限時間内に演技を行い、点数の高かった2本の合計で競い、トーナメント式で順位を決める。1つの波には1人しか乗れない。制限時間内に最高の波を見つけられるかどうかもカギとなる。
◆『スポーツクライミング』→そそり立つ壁に体1つで挑む
東京五輪で行われるのは「スピード」「リード」「ボルダリング」を1人で行い、その合計点を競う複合競技。
「初採用の競技ですが、3タイプともルールがわかりやすく、見やすいのも魅力。女性なら野口啓代選手、野中生萌選手、男子なら楢㟢智亜選手など、世界の舞台で活躍する選手が多くいるので、メダルの可能性も充分。身軽な日本人はボルダリングとリードが得意なので、スピードの強化がカギですね」と話すのはアマチュアスポーツに詳しいスポーツライター・折山淑美さん。
【ルール】スピードは、2人の選手が高さ15mで95度に傾斜した同じ形状の壁を登り、先にゴールスイッチを押した方が勝ち。リードは高さ12m以上で、最大60手程度が設置された壁を、制限時間内にどの高さまで登れたかを競う。選手はルート中の支点にロープを通し、安全を確保しながら登る。ボルダリングは高さ約4mの壁にホールドで構成された複数ルートを命綱もつけず、時間内にいくつ登れたかを競う。落ちたり、ロープにぶら下がることも多く、失敗と成功が一目瞭然だ。
※女性セブン2019年5月23日号