健康の重要なカギを握るのが日々の食事だ。テレビや雑誌では「これを食べると体にいい」という情報が数多く紹介されているが、むしろ注意すべきは、気づかないうちに健康に害を及ぼすリスクのある食べ物を口にしていることだ。健康管理の“プロの中のプロ”である医師は何を食べないのか──。
例えば、クエン酸やアミノ酸などを豊富に含み、血液サラサラから疲労回復、ダイエットに美容まで幅広い健康効果が周知されているお酢。いまや「飲むお酢」は健康食品の定番だが、秋津医院院長の秋津壽男医師は「飲むお酢はデメリットが多い」と指摘する。
「調味料として少量を摂取するのは構いませんが、酸性の食品である酢をそのまま飲むと食道を荒らします。
高齢者に多い逆流性食道炎を引き起こすリスクもあるので、私は黒酢をはじめとする“飲むお酢”は飲みません。実際、『最近、胸焼けがひどい』と訴える患者に思い当たる節を尋ねると、『お酢を飲み始めた』という人が結構います」(秋津医師)
肝機能を改善するとされ、「お酒の味方」として人気のウコンについても、秋津医師は「お酒を飲む時にウコンドリンクを渡されても絶対飲みません」と断言する。
「ウコンは人によっては肝機能を改善するケースもありますが、様々な調査で逆に肝障害を引き起こすことが指摘されています。
例えば日本肝臓学会の調査では、1994年から2003年に発生した民間薬・健康食品による薬物性肝障害の25%はウコンによるものでしたし、日本医師会は『ウコンによる肝障害の報告が多く寄せられている』と注意喚起しています。
ウコンを飲んでお酒をたくさん飲むよりも、ウコンを飲まずに酒量を減らす方が賢明ではないでしょうか」(秋津医師)
※週刊ポスト2019年5月17・24日号