主人公の磐音は、穏やかで優しく、剣の腕も立つ好青年。しかし無二の友を斬り、愛する人を失い、壮絶な孤独を背負って生きている──。
5月17日公開の映画『居眠り磐音』(いねむりいわね)で主演を務めるのは、松坂桃李(30才)。デビュー10周年となる今年は、本作『居眠り磐音』をはじめ4本の映画に出演するほか、ドラマや舞台と精力的に活動を続ける。
彼もまた、磐音と同じく“孤独”と向き合うひとりだ。
「俳優って、撮影している時以外は孤独な仕事だと思うんです。セリフ覚えや役作りもひとりで行う作業ですし、作品が終わればチームとも別れます。今日みたいにひとりで取材を受けていて、撮影用の椅子がぽつんと1脚しかないのを見ると、ものすごく孤独が襲ってきます(笑い)」(松坂・以下同)
劇中では友を斬る役を演じたが、実生活では“親友”の存在が大きいという。
「(2016年のドラマ『ゆとりですがなにか』で共演した)岡田将生(29才)と柳楽優弥(29才)とはプライベートで連絡を取り合う数少ない仲間。普段、仕事の話はほとんどしないけど、たとえば(2018年の岡田主演のドラマ)『昭和元禄落語心中』を見た時は“やっぱすげーな!”って思いますし、友人の出演作から刺激を受けますね。同じ事務所のメンバー(中村倫也・32才、菅田将暉・26才、杉野遥亮・23才)ですか? 彼らは親戚みたいな感じです(笑い)」
うなぎを捌くワンシーンのため、“利き手ではない右手”で、あなご相手に1か月の特訓をこなした。
「もともと経験がないので、左でやっても、右でやってもやりにくさは同じだろうと(笑い)。でも本番、うなぎってあなごと全然違ったんです(苦笑)。うなぎの身の方がやわらかいし、ものすごく暴れるし、包丁がススって入っていっちゃう。一度だけ親指を切っちゃいました」
作品によってさまざまな顔を見せる演技派の彼だが、カメレオン俳優ではないときっぱり。
「周りから“松坂にこういう色を足してみたい”と思われるような、白い存在でいたいですね。専門も専門外もいけるぞ、という。…たとえば、ラーメン屋なのにカレーライス始めましたっていって、でもすごくそれがおいしいみたいなこと(笑い)。間口を広く持っていたいんです」
とはいえ、インタビュー中は仙人のように「ほほう、なるほど」と相槌を打って笑わせたかと思えば、撮影中はにおい立つような色気を振りまく。やはりこのオトコ、ただ者じゃない。
【映画『居眠り磐音』】5月17日(金)全国公開/配給:松竹
磐音(松坂)は、故郷・豊後関前藩で起きた哀しい事件により、幼なじみの2人を失い、許嫁を残して脱藩。すべてを失った磐音は江戸で出会った大切な人たちを守るために再び剣を握る。シリーズ累計2000万部超えの、人気時代小説『居眠り磐音』がついに映画化。
撮影/佐野方美(KiKi)
※女性セブン2019年5月30日号