視聴率争いでは民放キー局の最下位が“定位置”となったフジテレビが、捲土重来を期して新社長人事を固めた。6月下旬の株主総会を経て社長に就任するのは、遠藤龍之介専務(62)。かの芥川賞作家・遠藤周作の長男で、幼稚舎から大学まで慶應で学び、1981年にフジに入社。2005年のライブドアによるニッポン放送への敵対的買収騒動では広報部長としてマスコミ対応を担った人物だ。フジ幹部はこう話す。
「日枝久・取締役相談役からの信頼が厚く、新聞・出版業界にも人脈が広い。意地悪な記事を書く社とも食事をする人当たりの良さがあります。かつては担当するドラマにチョイ役で出演したり、政治家二世のドラマを二世俳優の高嶋政伸主演で企画し、手がけた自らも二世としてメディアに登場。近年も父に関する雑誌記事でサービストークを繰り広げるなど表に出ることを厭わない、バブルの頃のフジらしい人です」
そんな遠藤氏には、もう一つの“華やかな経歴”がある。作家の檀一雄を父に持つ女優・檀ふみ(64)を袖にしたことがあるというのだ。
檀自身が『女性セブン』(1977年8月25日号)での小説家・北杜夫との対談で、当時同じ慶大生で、檀が出演した映画『男はつらいよ』の撮影に補佐として参加するなど面識のあった龍之介氏との秘話を明かしている。結婚について尋ねられた檀がこう語るのだ。
〈遠藤周作さんとも対談してお知り合いだし、一度おはがき出したときに、追伸で“龍之介くんに”って書いて、“ちょっと年増ですけど、もしお声をかけてくだされば、どこへでもついて行きます”って書いておいたのに、龍之介くん、ぜんぜん声かけてくれないの。(笑い)〉
〈だから、こないだ龍之介くんに会ったとき、どうして私をすげなく振ったのっていったら、だってあれオヤジにきた手紙じゃないかっていうの。くやしい!(笑い)〉
檀の事務所に改めてコメントを求めたが、回答はなかった。かつての想い人の出世を「沈黙」で祝うということか。
※週刊ポスト2019年5月31日号