相次ぐ交通事故は、日本の道路が「歩行者にとっていかに危険か」という現実を突きつけた──。
4月19日に東京・池袋で87歳男性が運転する乗用車が暴走した事故では、自転車で横断歩道を渡っていた母子が死亡するなど12人が死傷。
5月8日に滋賀県大津市の交差点で発生した事故では、車同士の衝突で弾かれた軽自動車が信号待ちをしていた保育園児の列に突っ込み、園児2人が死亡、1人が重体、保育士を含む13人が重軽傷を負った。
2つの痛ましい事故は連日報じられたが、これを“特殊な事例”と片付けてはいけない。日本の歩行者は、常日頃から“死の危険”に晒されている現状がある。日本は先進国の中でも「歩行者の死亡事故」が多いことを示すデータがある。
2016年の国際道路交通事故データベース(IRTAD)によれば、日本と欧米諸国の年間死亡事故のうち、歩行者・自転車が巻き込まれた事故の割合を比較すると、フランス20.8%、スウェーデン23.7%、ドイツ27.6%、イギリス30.5%に対し、日本は50.2%に上る。
このデータを見る限り、日本の道路は“歩行者にとってリスクが高い”ことは明白だ。歩行者が自動車事故に巻き込まれないための施策は急務だろう。
※週刊ポスト2019年5月31日号