今季冴えまくるのが巨人・坂本勇人(30)のバット。5月14日時点でセ・リーグ打撃部門の三冠王(打率.338、13本塁打、30打点)をひた走る。実は坂本は箸もペンも左手で持つ左利き。“異色の右打者”であることが好調につながっていると指摘する向きもある。
坂本のように「左利きから右打ちに変えた」ケースは珍しいが、今年のプロ野球の成績をみると、坂本以外にも右打者が躍進している。
パ・リーグでは、昨年の本塁打王の西武・山川穂高(27)が16本塁打、43打点と、2位以下に大差をつけて「二冠」をひた走っている。セ・リーグではトリプルスリーを3度記録したヤクルト・山田哲人(26)に、広島の若き4番を務める鈴木誠也(24)が打撃成績上位にいる。
近年、メジャーリーグでも同様の傾向がある。エンゼルスのマイク・トラウト(27)や、アストロズのホセ・アルトゥーベ(29)など、右の強打者が増えている。
しかし、球界では古くから、「左打者のほうが有利」という理論が定説だった。
その理由は、「進塁する一塁ベースに近い」「投手は右投げが多いから、左打席に立ったほうが球筋が見やすい」といったもの。とくに少年野球レベルでは、足の速い子供は内野ゴロでも安打になる確率が高いからと、「左打ちに変える」ように指導するケースも多い。
前述したような右打者たちの好成績は、こうした“左打者有利”の神話を否定するものだ。そこで本誌は、ある仮説を立ててみた。