市民のマナーがまたしても問題に
中国の北京市政府は近く、座席を占領したり、ガムを吐き捨てるなど地下鉄でのマナー違反を犯した乗客に対する条例を制定することを決めた。この条例では、罰則規定を設け、市民らの経歴を記した「人事ファイル」にその違反内容を書き込み、“信用スコア”を減点するなどの内容が含まれている。
この人事ファイルは中国語で「档案」と呼ばれ、中国では1949年の中国共産党政権の発足後、出生から現時点までの履歴や賞罰などが詳しく記録されている。この档案は国民の管理を目的に作成される個人の経歴、思想等の調査資料を収集した秘密文書となっている。
とくに、市民の中国共産党への入党や官公庁や企業での昇進の際に重要な参考資料となるだけに、これらのマナー違反が記されるのは極めて異例。市民の管理強化による締め付けを目的としているとみられ、今後は首都・北京だけでなく、他の大都市でも徐々に採用されるとみられる。
中国共産党機関紙「人民日報」によると、北京市交通委員会はこのほど、改訂版「北京市軌道交通乗客規則(条例)」の原案を発表し、市内の地下鉄でのキセル乗車や座席独占、地下鉄内での飲食、セールスや販売行為などのマナー違反を犯したものに対して、個人の信用スコアの減点対象とすることを決めたという。
具体的には乳児と病人を除く乗客が車内で飲食することや、1人で数人分の座席を独占すること、車内でスマホによる販促活動を行うことなど、今後、地下鉄の乗客がこれらの行為を行った場合、その代償を支払わなければならないことになる。他にも喫煙、大小便、痰吐き車内への落書きといった行為の禁止も明文化されている。大きな声で騒ぐことや楽器の演奏、音楽を流すことなどもアウトだ。