グラビア写真界の第一人者、渡辺達生氏(70)が“人生最期の写真を笑顔で撮ろう”とのコンセプトで立ち上げた『寿影』プロジェクト。渡辺氏は、自然な笑顔を引き出すべく、撮影する人に「一品」を持ってきてもらって、それにまつわるエピソードを聞きながら撮影する。
ニューハーフタレントのカルーセル麻紀(76)が持ってきたのは、パリで魅了されたアンティークジュエリー。
「幼い頃からキラキラしたものが大好き。冬の朝にできる雪の結晶を『宝物だ!』と言って、宝石箱に入れて喜ぶ子供だったの」
雪の結晶は儚く溶けてなくなるが、世に脚光を浴びてから手に入れた豪華なジュエリーの数々は、今でも10センチのピンヒールを履きこなす自身を煌びやかに飾る。身に付けるネックレス、指輪、イヤリングはパリで見惚れた貴重なアンティーク。
「高額で手持ちが足りず、パリの友人に300万円借りたのを覚えている。お金はパーッと使う。無くなったら、働けばいいの」
座右の銘は“人生成り行き任せ”。逝き方も自然が理想と語り、同居する姉とは延命治療をしないと互いに約束する。葬式は僧侶を呼ばず、戒名もなしを明言。