気軽な運動の代表といえるのがジョギング。若い人には健康増進効果が期待できるが、60歳を機に「死を招くエクササイズ」に変わる。筑波大学名誉教授の田中喜代次氏が指摘する。
「どれほど若い頃にスポーツに親しんでいても、60代に入ると骨密度や筋肉量、関節可動域や動体視力が徐々に低下していきます。同時に動脈硬化が進んで高血圧となり、血管も脆くなりやすい。
こうした状態で走ることは大きなリスクとなります。ジョギングやマラソンなど足の裏に強い圧力がかかる運動をすると、赤血球が潰れて貧血になることがあります。また高血圧で血管が脆くなった高齢者がジョギングで心臓に過度の負荷をかけると、血管が切れて突然死するリスクがある」
事実、国士舘大学が救護活動を行なった市民マラソン大会で心停止発生率を調べたところ、60代の発生率が最も高かった。
若い頃から体力に自信があっても、60歳を過ぎたら過信は禁物だ。
※週刊ポスト2019年5月31日号