健康志向が高まる中で、白砂糖の摂取を避ける人が増えてきた。とはいえ、甘いものを一切断っているわけではない。現代の私たちが食べている「甘み」は、砂糖による甘さだけではないのだ。
そんな時流の中で、注目を集めているのが人工甘味料の存在である。1950年代のアメリカで広まってから、砂糖の代用品として次々に人工甘味料が開発され、多くの食品で使われるようになった。「糖質オフ」「カロリーオフ」を売り文句にした加工食品のほとんどに、人工甘味料が含まれている。
「糖尿病の人、糖尿病になるリスクが高い人は、人工甘味料を選ぶべき」と言うのは、名古屋経済大学准教授の早川麻理子さんだ。
「糖尿病の人が砂糖を摂ると、高血糖の状態が維持されて、その結果細胞障害や動脈硬化を引き起こします。どうしても甘いものの摂取がやめられないという人は、砂糖より人工甘味料がいいでしょう」(早川さん)
しかし、人工甘味料のリスクは高い。
「すべての“甘味料”には、脳の神経伝達物質であるエンドルフィンの快楽中枢に働きかける作用があります。それは麻薬と同じような作用で、中毒性や常習性があるといわれています。特に危険なのは、毎日決まった時間に甘いものを摂取している人。習慣となった甘いものを断つのは、簡単なことではありません」(早川さん)
宇部内科小児科医院院長で総合内科専門医の團茂樹さんは、カロリーオフの人工甘味料にも肥満のリスクがあると言う。
「海外では、砂糖だけでなく人工甘味料もインスリンの分泌を増やすといわれています。血糖をコントロールするインスリンは、肥満因子であるという側面もあり、インスリンの分泌が多い人は太りやすい。
必要な時にパッと分泌され、パッと引っ込むのが理想的なのですが、『人工甘味料は太らない』と思い込んでだらだらと人工甘味料入りの食品や飲み物を摂取していると、インスリンもだらだらと分泌され続け、結果、肥満を招きます」
食品ジャーナリストの郡司和夫さんは、人工甘味料の“見えないリスク”に注意を呼びかける。
「アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースは人工甘味料の中でも危険度の高い“負の御三家”。脳機能障害、発がん性物質、うつなど、数えきれないリスクがあります」
では、どんな人工甘味料なら安心なのか。
「ステビアやエリスリトールのような植物由来のものは、有害物質が少ないといえます」(郡司さん)