「まもなく本番です!」「よし、この言葉でいきましょう!」
MCを務める福澤朗のハキハキしたかけ声に、『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ系)のスタジオの空気は一気に引き締まった。生放送の舞台裏では開始わずか45秒前まで、念入りに放送内容の検討が重ねられていた。そしてOAが始まると一転、現場には落ち着いた空気が流れる。淀みないマシンガントークでまくし立てる話術も持ち味だが、番組での福澤はゆっくりと噛みしめるように言葉を発する。
「『笑点』からの流れでご覧になられるご高齢の視聴者の方もたくさんいらっしゃるので、なじみの薄い若者言葉などは控えて極力ゆっくりと、丁寧にしっかりしゃべることを心がけています」
その姿勢は番組に安定感を生む。
「1週間に報道番組は数多あり、視聴者の声をリアルタイムに反映させる番組もあれば、MCやコメンテーターの賑やかなおしゃべりを楽しむ番組もあって、それぞれに良さがあると思います。その中にあって『バンキシャ!』が目指すのは“額縁”。一貫した演出方法に添って福澤を中心とした伝え手がいて、放送スタートから変わらないオレンジ色のテーマカラーがある。これを基本的には変えない。毎週同じ額縁=番組としての価値観の中で、“このネタは皆さんの目にはどう映りますか”ということを、問いかけていきたい。抑えた口調も額縁でありたいという、出演者としての意識です。
着眼点や切り込みかたは独創的であるべきだと思いますが、偏った見方を提示したくはない。今トランプ大統領が来日中ですが、トランプ批判だけするのも、持ち上げるだけになるのも、どちらも避けたいですし。米国内でまだまだ高い支持率があるのには意味があるわけで、米国と中国、イラン、日本の関係を俯瞰して興味深く額縁に収めて、解読は見る人に委ねる。先入観を生むような“絵の解説”は必要ないと思っています」
2002年に始まった同番組は、毎週安定して高視聴率を叩き出し、15%を超えることもある。6月2日には放送800回を迎える。