日本は言わずと知れた薬大国である。というのも、日本でしか使われていない薬が多く存在するからだ。そもそもドイツや北欧など一部の国では、薬をほとんど使わずに予防に力を入れている。アメリカでも鎮痛剤などは胃を壊すという副作用から、極力使わないようにする動きが強い。
肩こりや腰痛、筋肉痛など病気ほど深刻ではないもののつらい症状を緩和してくれる湿布。実はこれも多用するのは日本人だけ。新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんはこう言う。
「欧米では湿布が効くというエビデンスはないことが知られており、ほとんど使われていない。日本では『膏薬』の歴史もあり、“効いた気がする”から人気があって整形外科を中心によく処方されています。薬局でもよく売れているようですが、最近になり厚労省も世界と足並みをそろえて一度に処方できる湿布の枚数に制限をつけました。いずれは保険適用から外れることになるのではないでしょうか」
薬剤師の宇多川久美子さんも言い添える。
「たしかに湿布を多く処方するのは日本独自で、海外の人からは驚かれる。日本人は湿布や塗り薬は安全だと思い込んでいるようで、人気の要因の1つになっていると考えられますが、そんなことはない。たくさん貼れば成分が経皮吸収によって血中に取り込まれ、胃潰瘍などの副作用も起こりうることを知っておいた方がいいです」
※女性セブン2019年6月13日号