気温30℃超えの真夏日が続いた5月が終わり、梅雨入りする地域も出てきた。近年の日本の夏の暑さはすさまじいものになっており、熱中症予防への関心は高い。「水分をしっかりとる」「塩分も大事」「外出時は帽子が必須」──そういった対策は、すでに常識となりつつあるが、梅雨どきの熱中症対策は夏本番時の“常識”が通用しないから厄介だ。
例えば、「雨音が気になる」と窓を閉め切る人が多いが、これは熱中症を招く原因のひとつとなる。環境生理学に詳しい横浜国立大学教授の田中英登氏が解説する。
「風があると洗濯物が乾きやすいように、空気が循環したほうが水分は蒸発しやすい。室内の通気性が悪いと、汗の蒸発が促進されず、体を冷やせないのです。
梅雨どきこそエアコンや扇風機、サーキュレーター(空気循環装置)などを活用し、室内に空気の流れを作りましょう。その際、直接体に強い風を当てると体調を崩しやすいので、壁に向けて弱い風を送る。それだけで熱中症になる危険度が低下します」
節電、節約意識の高まりから、エアコンなどの使用を避けようとする人もいるが、適切に活用したい。
◆肌寒い夜こそ水分補給
日中が暑くても、夜間にグッと気温が下がることも珍しくない。だが、翌朝の日の出とともに気温がぐんぐん上昇し、寝ている間に脱水状態に陥るケースがある。快眠セラピストの三橋美穂氏はこうアドバイスする。
「脱水を防ぐ意味でも、就寝前にコップ1杯の水を飲むことを勧めます。ただし、冷たい水を飲むと内臓が冷えてしまいます。すると、体は体温を上げようと働いてしまい、深部体温が下がりにくく眠りに支障が出てしまいます。寝る前の1杯は常温の水か、白湯がいいでしょう」