テレビや映画で最近、よく名前を聞く歴史上の人物が二宮金次郎だ。ちょっとしたブームになっているという。時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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そんなわけであっという間に令和元年も進みつつある今日この頃。この元号の刷新気分に加えて、新札に「渋沢栄一」「津田梅子」「北里柴三郎」が登場するというニュースもあって、改めて日本の偉人って!?と考える機会が増えた。
そんな中、今年一番の注目株偉人といえば「二宮金次郎」である…と断言してしまったが、「二宮金次郎」、“名前は聞いたことがあるけど何した人かはよくわからない偉人ナンバー1”ともいえる。確か何か背負って本を読んでいた石像を見たような? でも、頭はソフトなちょんまげだったよね?という方も多いかもしれない。
その疑問のすべてを解決する映画、タイトルもズバリ『二宮金次郎』が公開された。私もさっそく見に行ったが、正直な感想は「こういう人でしたか…」。時代劇研究家を名乗っているくせに、知らないことだらけでびっくりの連続だった。
そもそも二宮金次郎は、江戸時代の後期の人。早くに両親を亡くし、貧困の中で勉学と農作業に励み、その後、小田原藩の奉公人として財政立て直しに貢献した。その手腕を認められ、各地の疲弊した農村の立て直しを任される。その村の数は実に600!! しかし、現場では、保守的な農民たちに反発されたり、嫌な役人に殴られ蹴られの壮絶パワハラを受けたりと苦難の連続だ。泥だらけになり、私財を失っても村人のために奔走する金次郎。座右の銘は「積小為大」。こつこつ小さなことを積み上げれば、大きなことができる。いや~、まさに偉人。
映画で金次郎を演じたのは、合田雅吏。かつて里見浩太朗主演の『水戸黄門』で原田龍二の助さんと旅をしたあの格さんである。映画では、金次郎と保守派の不良農民(柳沢慎吾)がぶつかる場面があるが、実はふたりとも地元神奈川出身で「小田原ふるさと大使」。ふるさと大使同士がいがみあっていたのである。
さらに、二宮金次郎の心強い“ひとり応援団”といえば、嵐の二宮和也だ。『嵐にしやがれ』の「二宮和也の小っちゃな野望」のコーナーでは、廃校の跡地などにポツンと残された二宮金次郎の石像を各地の小学校に移転させるプロジェクトを推進中。
企画第一弾では二宮が、青梅や岐阜、長野などに放置された金次郎像を日テレまで持ち込み、移転先を公募。先日の企画第二弾では、栃木の廃校から東京世田谷の小学校に金次郎像を運び、体育館で紙芝居で金次郎の人生を紹介したりして、こどもたちからキャーキャー言われていた。
面白いのは、この企画では「小学校時代はずっと二宮金次郎と呼ばれていた」という二宮がわざわざソフトちょんまげ(これはおとなになる前のまげです)に薪を背負った姿になって、金次郎像と見つめ合い、「金次郎」「ありがとう和也」などと呼びかけ合うことである。
ここまでくれば、二宮金次郎ブームは間違いなし。それにしても番組に出てきた石像の金次郎の顔は全部まったく似てないのが気にかかる。