身体的な特徴は、長所にもコンプレックスにもなるが、歳を重ね「外見など気にしなくなった」という人も少なくない。ただ、自身の体型が病気のリスクと密接に関係しているとしたら──各国の専門家による「体型と病気」の最新研究で次々と意外な事実が明らかになってきている。
◆体は病を表わす
内臓脂肪型肥満の人は糖尿病や動脈硬化を引き起こし、脳梗塞や心筋梗塞といった心血管疾患で死亡する人が多い──という疫学調査に基づき、厚労省が「特定健診・特定保健指導」を開始したのは2008年。いわゆる“メタボ健診”で、その診断基準のひとつに「腹囲85cm以上(女性は90cm以上)」という項目が設けられた。
以降、腹周りは「見てくれの問題」だけでなく「健康のバロメーター」という位置づけになったが、近年、各国の研究者が身体的特徴と病気の関係に注目。“腹が出ている”こと以外にも、体格や体の特徴によって「かかりやすい病気」があるという研究結果が次々と発表されている。
そうした研究が進む背景について、医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が解説する。
「いま、世界中で進展しているのが、個々の患者の細胞を遺伝子レベルまで分析、それに応じて最適な治療方法を選択していく『プレシジョン・メディシン(精密医療)』です。これは、患者一人ひとりに対する“オーダーメイド医療”がどんどん進化していることを意味します。こうした研究が進められていくなかで、身体的特徴と疾病との関連が次々と明らかになっていったのではないかと考えられます」