国内

柔軟剤の人工香料 皮膚から吸収され体内蓄積の危険性も

人工香料は、体内に蓄積される危険性が危惧されている(写真/PIXTA)

 2000年代後半から、香りの強い海外製柔軟剤が人気になったことをきっかけに、国民生活センターには、柔軟剤のにおいに対する被害相談が増加した。

 その内容は「柔軟剤を使って部屋干ししていたら、咳が出るようになった」「隣人の洗濯物のにおいがきつくて、頭痛や吐き気がする」などというもの。

 こうした柔軟剤に多く使われているのは、人工的に作られた合成ムスク類といわれる香料だ。添加物や合成物質に詳しいジャーナリストの郡司和夫さんは合成香料の危険性を指摘する。

「こうした人工香料は、呼吸によって体内に入るだけでなく、衣類についた香料が皮脂で溶け、皮膚から体内に吸収されます。体の中で分解されにくく、体内に蓄積される危険性が危惧されている。

 子供の喘息、アトピー、アレルギーに関与しているのではないかと、海外では使用規制が始まっています」

 なかには、合成香料ではなく、シナモンやバラなど自然由来の香料もあるが、どちらも『香料』としか成分表記されないことが多いという。

「合成香料よりは天然香料の方が健康被害の起こる恐れは低いですが、天然香料でアレルギーを起こす人もおり、肌が敏感な人やアレルギーが心配な人は香料の過度な使用は控えてほしい」(あいこ皮フ科クリニック院長の柴亜伊子さん)

 柔軟剤を使う時は容量を必ず守る、部屋干しする時は定期的に換気するなど、ちょっとしたことでリスクは下げられる。

 一方、実践女子大学生活科学部教授の牛腸ヒロミさんは、柔軟剤を使用するメリットもあると語る。

「柔軟剤には、衣類を柔らかくさせる効果があります。柔軟剤に使われている『陽イオン界面活性剤』は汚れを落とす機能はありませんが、繊維にくっついた成分同士が反発し合うことで繊維の間に空気を入れて、ふんわりさせてくれます」

 静電気の発生を防ぎ、型崩れを防ぐ効果もあるという。

「パチパチするような帯電性のある衣類は、陽イオンの効果で帯電が防げます。衣類に空気を入れてふんわり仕上げることで、縮みや型崩れも防げます」(牛腸さん)

 タオルを洗う時に柔軟剤を使うと吸水力が低下するというが、ほとんどの場合が、柔軟剤の入れすぎだと話すのは、洗濯洗剤を独自に研究する人気ブログ「ハナの洗濯ラボノート」を運営するハナさんだ。

「最初はふわっとしていたタオルが、ふわっとしなくなったと感じる時は、何度か柔軟剤を使わずに洗うと、ふんわり感が戻ります。ふわっとさせようとして柔軟剤をたくさん入れるのは逆効果です」

 上手に使えば、好きな香りに包まれて、衣類を型崩れさせずに長持ちさせられる柔軟剤。容量を守り、たまに“柔軟剤断ち”させることが最も快適に使う秘訣だ。

※女性セブン2019年6月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者(2023年12月撮影)
【広末涼子容疑者が追突事故】「フワーッと交差点に入る」関係者が語った“危なっかしい運転”《15年前にも「追突」の事故歴》
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
「全車線に破片が…」広末涼子逮捕の裏で起きていた新東名の異様な光景「3kmが40分の大渋滞」【パニック状態で傷害の現行犯】
NEWSポストセブン
北極域研究船の命名・進水式に出席した愛子さま(時事通信フォト)
「本番前のリハーサルで斧を手にして“重いですね”」愛子さまご公務の入念な下準備と器用な手さばき
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
広末涼子(時事通信フォト)
【広末涼子容疑者が逮捕、活動自粛発表】「とってもとっても大スキよ…」台湾フェスで歌声披露して喝采浴びたばかりなのに… 看護師女性に蹴り、傷害容疑
NEWSポストセブン
麻布台ヒルズの個展には大勢の人が詰めかけている
世界的現代美術家・松山智一氏が問いかける“社会通念上の価値の正体” 『うまい棒 げんだいびじゅつ味』で表現したかったこと
週刊ポスト
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン