戦後最悪の状況が続く日韓関係。彼の地では、現状をどう受け止めているのか。日本の外務省にあたる韓国外交部の関連施設で「韓国の外交史を学ぶ見学ツアー」に遭遇したソウル在住ジャーナリストの藤原修平氏が報告する。
* * *
サムスン財閥のオフィスビル2棟がそそり立つ江南駅(韓国・ソウル市)から南に約1キロ、閑静な住宅街の入り口に、韓国外交部傘下の「国立外交院」はある。
「教育」と「研究」の二つを活動の柱とする機関で、研究分野では全世界の国際関係を対象にしており、その成果を論文としてまとめ研究誌等に発表している。
教育分野の取り組みは様々だ。韓国外交部の職員を対象とした国際関係や語学の教育を始め、これから外交官を目指す国民を対象にした「外交官候補者課程」、自治体などの高位公務員を対象にした「グローバルリーダーシップ課程」、さらには韓国に駐在する各国からの外交官向けに「外国外交官教育課程」が設けられている。
その国立外交院で一般向けに「外交史展示室」を開放しているというので、足を運んでみた。展示室は敷地内「外交史料館」の中にある。建物一階に入るとまず、来訪者を出迎えるように竹島専用展示スペースが設置されていた。「東海の朝を開く島、独島」というキャッチフレーズが否応なしに目に飛び込んでくる。ちなみに独島は竹島の韓国名、東海は日本海の韓国名である。
そのスペースに隣接したガラス張りの“教室”のようなところで、小学校高学年くらいの子どもたちがペンを片手に講義を受けている。スクリーンに映し出されている資料を見ると、外交問題や世界情勢に関する内容だ。聞けば、これは小中学生を対象とした「外交官学校」と称される養成課程なのだという。
お目当ての外交史展示室は、竹島展示スペースの一つ奥にあった。「大韓民国の外交史」を謳ってはいるものの、実際の展示は韓国で近代が幕を開けたとされる1876年から始まっている。