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引きこもり問題 周囲に相談できない日本の社会構造が影響か

引きこもりの子供との関係に悩む人は少なくない(写真はイメージ)

 元農林水産事務次官、熊沢英昭容疑者(76)による44歳の引きこもりの息子殺害事件は、“罪は罪”と指弾する声とともに、父親としての苦しみに共感する声も聞こえてくる。多くの人々がこの事件に底知れぬ不安を掻き立てられるのは、決して「他人事」とは受け取れないからだ。

 内閣府は引きこもりを「自室や家からほとんど出ない状態に加えて、趣味の用事や近所のコンビニ以外に外出しない状態が6か月以上続く場合」と定義する。同府の2018年の調査によると、自宅に半年以上引きこもっている40~64歳は全国に61万3000人。うち76.6%が男性だ。

 総務省統計局の調査(2016年)によれば、親と同居する高年未婚者(45~54歳)は約160万人で、この人数は過去35年でおよそ8倍に急増したとされる。この高年未婚者は、将来的に失職などで収入が絶たれた場合、親に頼るほかなくなり、引きこもりになるリスクをはらんでいるとも言える。

「働かない」「結婚しない」「家から出ない」人が増加する中、こうした子供を抱える親は日々、「この先自分たちがいなくなったら、この子はどうやって生活するのか」と思い悩む。

◆「身内で解決したい」けれど

 大企業に勤める50代のA氏の長女は東大法学部を卒業後、司法試験合格を目指して自宅で司法浪人をしたが合格せず、30代になった今もそのまま実家暮らしを続けている。

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