体型と病気のリスクについての研究が進んでいる。2017年に英国の心臓病の国際医学誌で発表された研究は、世界中の男性の興味を惹いた。「薄毛が心臓疾患と関連する」という内容だったからだ。
「インドのU・N・METHA心臓病研究センターのカマル・シャルマ博士の研究で、心臓病の一種である冠動脈疾患を持つ468人と、健康な912人(いずれも40歳未満のインド人男性)を被験者として比較したところ、男性型脱毛症(AGA)や若白髪が最も注意すべき身体的特徴であることが判明しました」(医療経済ジャーナリスト・室井一辰氏)
論文では「冠動脈疾患のリスクは(症状のない人と比べ)AGAの人が5.6倍、若白髪の人で5.2倍。一方、肥満の人は4.1倍となった」と報告されている。
ちなみに、主観が入りやすい“薄毛の程度”の評価は、米国の皮膚科医が作った『ハミルトン・ノーウッド』と呼ばれる指標を使用。白髪の程度は2人の観察者によって判定するなど厳密に行なわれたという。
なぜ薄毛の人が疾患リスクが高くなるのかの原因についてはよくわからず、今後の研究課題であるとしている。
「論文は『AGAと若白髪は実年齢と同じくらい生物学的な年齢を示すものとして心臓の健康リスク判断に有効な可能性がある』と締めくくっています。2000人以上のデータを解析した結果であり、一定の傾向が示されている可能性は高いと考えられる」(同前)
頭髪が心臓疾患と関係あると立証されれば、重大な病気のリスクを外見で見分けられることになる。当事者にはショックかもしれないが、それが早期発見につながるとすれば貴重な情報だ。
※週刊ポスト2019年6月21日号