超低金利時代の“夜明け”が見えない中で、見落としがちなのが、老後資産を預ける「銀行口座」をどうするかという問題だ。
口座を知り尽くした銀行員は「どうせ雀の涙ほどの金利しかつかない」とは考えない。退職後、適切なタイミングで最適な口座を選べば、得られる“果実”の大きさは驚くほど変わってくるからだ。
現役時代は何かと口座が増えがちだ。給与振込口座に加え、住宅ローン、子供の教育費など、シチュエーションに応じて必要な口座の開設を迫られるケースは少なくない。
しかし、増えすぎた口座を定年後もそのままにしておくと、思わぬデメリットが待ち受けている。第一勧業銀行(現みずほ銀行)の元銀行マンで、法政大学大学院教授の真壁昭夫氏(65)は、「銀行口座はまとめておくと良い」と語る。
「私は銀行を辞めた後に口座を2つにまとめました。給与や原稿料などの振り込み、各種引き落としなどの生活資金はメガバンクの普通預金口座を使い、信託銀行の定期預金口座に余裕資金を預けています。とくに、家族に相続する場面までの利便性を考えると、信託銀行には遺言信託や生前贈与といった細かいノウハウがあり、預金の利率もいいからです。
親から相続を受ける際、銀行口座が複数あって財産が把握しにくく、相続の手続きで大変な思いをしたという声もよく聞くので、そうならないための対策にもなります」