昔に比べ、小顔でスラリ。今の子供たちはすっかりモデル体形になってきた。実際、子供たちの体格はこの55年間で身長・体重ともに発達している。
だが、一方で子供たちの体力や運動能力の低下が問題視されていることも事実。文部科学省(平成27年度よりスポーツ庁)が実施している「全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果について」によると、子供の体力・運動能力の低下が顕著に表れだしたのは1985年頃から。特に「ボール投げ(ソフトボール)」については、小学5年生の平均値が昭和60年度に比べ、男子で7.8m、女子は3.84m下回っている。
成長が目覚ましい半面、体力・運動能力の低下傾向がみられるのはなぜか? “小学生のミカタ”シリーズ『マンガで克服! 体育の苦手種目』(小学館)の著者で『ジャパン ライフフィットネス ネットワーク』代表の多田ゆかりさんはこう話す。
「確かに子供たちは手足が長くなって身長も伸び、一見、モデル体形にはなってはいるのですが、筋力は落ちて軟弱になっているのが現状です。そのため、体育の授業が苦手という声をよく耳にするようになってきました」(多田さん・以下同)
こうした子供たちの運動離れの背景には、社会的な環境変化が大きく影響を与えていると、多田さんは言う。
「子供を狙った事件の多発やゲーム等の室内遊戯が充実し、外遊びをする機会が減ったこと、高齢化が進んだことによる“世の中の便利さ”が挙げられると思います。階段のほかにエスカレーター等が設置され、住宅環境もバリアフリーに。大人にとっては便利で暮らしやすい生活環境ですが、体を動かさなければいけない子供たちにとってはそれがマイナス面になります」
あえて自分で体を動かさねばならない時代。スポーツクラブなどで運動をよくする子供と、しない子供との二極化も指摘されている。
「身長・体重は20才頃までに成長していくものですが、運動神経は12才頃までに決まります。運動能力というとアスリートにしか必要のないものだと誤解されがちですが、けがの予防や将来の健康維持など自分自身を守る上でとても大切なこと。子供たちに“できた”という感覚を知って、体育の授業を好きな科目へと繋げてもらいたいですね」
※女性セブン2019年6月27日号