グラビア写真界の第一人者、渡辺達生氏(70)が”人生最期の写真を笑顔で撮ろう”とのコンセプトで立ち上げた『寿影』プロジェクト。渡辺氏は、自然な笑顔を引き出すべく、撮影する人に「一品」を持ってきてもらって、それにまつわるエピソードを聞きながら撮影する。
歌手・高橋真梨子(70)が持ってきたのは、ダイヤモンドの婚約指輪。
「私の宝物は、夫、音楽プロデューサーとして公私にわたるパートナー、ヘンリー広瀬です。その彼への想いを象徴するのがダイヤモンドの婚約指輪。ステージに立つ時は必ずつけて歌います」
デビューから47年、心に響く恋心を歌い続けるバラードの女王は、50歳手前で体調を崩した。食事も摂れないほど辛い日々、体を気づかうご飯を作り、不安定な心を支えたのは夫だった。
「今があるのは彼のおかげ。彼がいないと生きていけないから、先に逝かれては困るの(笑い)。看取ってもらうのが願いです」
歌うことは生きる証と語るが、いつかマイクを置く日が訪れる。
「ステージで倒れたら幸せかな。その後は好きなゴルフをしてニューヨークへも旅したい。それまでは、1日、この瞬間を大事に生きながらステージに立ちます」
音楽への取り組みも意欲的で、6月12日に初のセルフカバーアルバム『MariCovers』を発売。円熟味ある新たな大人アレンジの歌声は必聴ものだ。
【プロフィール】たかはし・まりこ/1949年、福岡県出身。ジャズ演奏者だった父親の影響で14歳からジャズを学ぶ。1972年、ペドロ&カプリシャスに2代目ボーカリストとして加入し、1978年にソロ転向。米国カーネギーホールでの3度の公演は日本人初の快挙。
◆撮影/渡辺達生、取材・文/スペースリーブ
◆小学館が運営する『サライ写真館』では、写真家・渡辺達生氏があなたを撮影します。詳細は公式サイトhttps://serai.jp/seraiphoto/まで。
※週刊ポスト2019年6月21日号