香港で6月9日に行われた「逃犯条例(犯人引き渡し条例)」の改正案反対デモで、デモ隊が香港警察本部などに火炎瓶を投げ込んでいたことが分かった。さらに、10日未明に民主派グループと警官隊が衝突した際、警察は数百人の身柄を拘束、19人を逮捕。その際、デモ隊側から火炎瓶や刃物など数十点を押収したという。警察本部では緊急記者会見で「マフィア組織が関与していたとしか思えない。今後は徹底的に取り締まっていく」と警戒感を露わにした。
香港のデモは近年、平和的な雰囲気で行われていたが、このところデモ隊側が暴力的になっているとの指摘もある。2014年の雨傘運動では中国側が香港マフィアを雇って、わざと暴力事件を起こすように仕向けるなど、民主派勢力のイメージを悪化させる戦術も使われていた。米国政府関連の報道機関「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
香港では6月4日の天安門事件30周年の犠牲者追悼キャンドル集会には15万人が参加。その後の9日の改正案反対デモには100万人以上の市民が集まった。デモ参加者が100万人以上になるのは、1997年の香港返還反対デモ以来、初めて。
このデモのさなかの9日午後3時ごろ、香港中心部のパオマティ警察署に、午後4時にはワンチャイ地区の香港警察本部にも火炎瓶が投げ込まれた。消火活動が早く、被害は軽微だった。
さらに、デモ終了後の10日未明、民主派グループの一部が立法会周辺に集結し、幹線道路を封鎖しようとして警官隊と衝突した。前出の通り、警察は数百人の身柄を拘束し、そのうち19人を逮捕した。他のメンバーは釈放されたが、衝突現場周辺で火炎瓶や刃物など数十点が押収された。