共働き世帯が増え、きょうだいも少なく、キャッチボールなどをする機会も減ってきた昨今。ボール遊びを禁止する公園も増えた。ボール運動の経験が少ない子供にとってドッジボールは“怖い”というイメージが定着している。
“小学生のミカタ”シリーズ『マンガで克服! 体育の苦手種目』(小学館)の著者で『ジャパン ライフフィットネス ネットワーク』代表の多田ゆかりさんはこう話す。
「最近の体育の授業では、できる子がボールを取って、できない子にボールを渡してその子がボールを投げるというルールにしたり、柔らかいボールに替えたりするところも。できる子が目立つのでなく、できない子にとってもドッジボールを楽しめるという取り組みです。
ほかにもドッジボールのかわりにタグラグビーを導入する学校も増えてきました。タグラグビーは後方にボールをパスしていくため、不得意な子にもボールがまわりやすい。運動量的にもよく動き、仲間と協力し合う楽しさもあります」(多田さん・以下同)
多田さんは女子ラグビー元日本代表選手として1984年に女子ラグビーワールドカップ世界大会に参加。引退後は日本代表メディカルスタッフとして選手たちをフォローしてきた。現在は1才半~90代までの健康づくりの指導を主に行っている。
「体を動かすということは、自分と向き合うこと。大人になるとさまざまな課題にぶつかり、自分が何をしたいのか、何に悩んでいるのか、自己を内観しながら生きていく力が必要です。
体を動かすことによって“気持ちいい”“悔しい”などの多様な感情を子供の時にたくさん体験し、自分の心の声に耳を傾けることができるようになってほしいです。また、スポーツには言葉が通じなくても世界各国の人とコミュニケーションをはかることができるという最大のメリットも。運動によって心身を健やかに育んでいってもらえたらうれしいですね」
※女性セブン2019年6月27日号