薬局で5~6種類以上の薬を処方されている人の割合は65歳以上で約3割、75歳以上では約4割にのぼる(厚生労働省「平成29年社会医療診療行為別統計」)。
高齢になるにつれて処方される薬の数は増えていくが、同時に薬を飲み残してしまう「残薬」が問題になっている。単なる飲み忘れだけでなく「すでに飲んだ」と勘違いしたり、飲むのが面倒になったりするほか、「もう治った」と自己判断で飲むのをやめてしまうなど、その原因は様々だ。
薬によって患者が生活上の制約を受けることや、用法通りに服用できない事例が目立ってきていることを受け、厚労省は昨年5月末、「高齢者の医薬品適正使用の指針」の中で、薬の種類や飲む回数を減らす方法について取りまとめた。
そこでは、問題を解消する具体的手段として、複数の有効成分が1つの薬品に含まれる〈配合剤の使用〉や、〈作用時間の短い薬剤よりも長時間作用型の薬剤で服用回数を減らす〉などが挙げられている。
では、どの薬を飲んでいる場合に、どう減らせるのか。薬剤師で池袋セルフメディケーション代表の長澤育弘氏監修のもと、薬を減らせる代表的な具体例を別掲した表にまとめた。
◆減らしやすい「降圧剤」