国の重要文化財に指定されている「三井本館」(東京・日本橋)。三井財閥の拠点的な機能を持つ建物として、総事業費2131万円(現在の約1000億円相当)を投じ、関東大震災で被害を受けた駿河町三井本館を建て替える形で昭和4(1929)年に竣工。三井総領家第10代当主・三井合名社長の三井八郎右衛門高棟(はちろうえもんたかみね)の右腕、三井合名理事長・團琢磨(だん・たくま)が設計・施工をアメリカの会社に委託した。
アメリカ型の新古典主義を採用し、ローマ風のコリント式オーダー列柱が特徴的だ。團琢磨の玄孫・團遥香さんはこう語る。
「玄関前で高祖父が暗殺されたこともあり、父(建築家・團紀彦氏)から團家にとって大切な場所と教えられ、家族で通る際には必ず手を合わせてきました」
三井本館の1階には、三井住友信託銀行日本橋営業部が入る。そびえ立つ大理石製のドーリア式の柱が壮麗な装飾天井を支え、正面玄関上部に配された時計の装飾も見事だ。
【三井本館】東京都中央区日本橋室町2-1-1
7階の「三井記念美術館」(入口は日本橋三井タワー1階アトリウム)以外、イベント時を除き、内部の見学は不可。7月21日まで90周年記念の写真展および外観装飾と夜間ライトアップ中。
【PROFILE】團遥香(だん・はるか)/1993年生まれ、東京都出身。聖心女子大学卒業。2010年、芸能界デビュー。女優、タレント、レポーターなど幅広い分野で活躍する。朝の情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)にレギュラーレポーター(毎週月・木・金)として出演中。出演ドラマ『恋するための8つの法則』(ひかりTV、dTVチャンネル)が7月5日より配信。
※週刊ポスト2019年6月28日号