高齢になるにつれて処方される薬の数は増えていくが、そうなると薬を飲み残してしまう「残薬」が問題になっている。単なる飲み忘れだけでなく「すでに飲んだ」と勘違いしたり、飲むのが面倒になったりするほか、「もう治った」と自己判断で飲むのをやめてしまうなど、その原因は様々だ。
厚労省は昨年5月末、「高齢者の医薬品適正使用の指針」の中で、薬の種類や飲む回数を減らす方法について取りまとめた。
そこでは、問題を解消する具体的手段として、複数の有効成分が1つの薬品に含まれる〈配合剤の使用〉や、〈作用時間の短い薬剤よりも長時間作用型の薬剤で服用回数を減らす〉などが挙げられている。
薬の数が減れば、その分コストを安く抑えられることもある。薬剤師で池袋セルフメディケーション代表の長澤育弘氏が話す。
「例えば、降圧剤の『ディオバン80mg』(91.2円)と『アムロジン5mg』(42.4円)を服用すると2錠で合計133.6円ですが、この2つの成分を合わせた『アムバロ配合錠』にすれば1錠で25.8円と5分の1以下になる。そこまで行かなくとも、これまでの処方の経験でいえば、配合剤に切り替えることで2~3割は安く済ませられる印象です。
ただし、組み合わせによってはかえって高くなってしまうケースもあるので注意してください」