ライフ

住友財閥・旧広瀬邸、実業家の先駆的な近代和風住宅の評価

愛媛県新居浜市にある住友財閥・旧広瀬邸(撮影/木村孝)

 住友財閥の家業である別子銅山を近代化し、住友グループの基礎を確立した広瀬宰平(さいへい)の邸宅と庭園が愛媛県新居浜市に残る。

 母屋は明治10(1877)年に建てられ、10年後に現在地に移築。楼閣風の2階建ては画期的な造りで、当時はまだ国内で生産されていなかったガラスを書院窓と障子に多用するなど斬新な住宅だった。明治22(1889)年には、賓客用の新座敷を増築。母屋と新座敷に面する内庭は心字池を配し、赤石山系の借景や渓水の取り入れなど自然を活かした造りとなっている。

別子銅山を訪ねる要人の迎賓館として使われた

新居浜市内を一望することができる

 敷地には宰平が住友家から譲り受けた亀池も残る。邸宅は日本建築様式だが、マントルピース、洋式便器、避雷針など西洋からの文化も導入され、宰平の進取の気性が建物にも表われている。旧広瀬邸は「別子銅山を支えた実業家の先駆的な近代和風住宅」として国の重要文化財に、庭と亀池は国の名勝に指定されている。

【旧広瀬邸】愛媛県新居浜市上原2-10-42(新居浜市広瀬歴史記念館内)
営業時間:9時半~17時半(入館は17時まで)
定休日:月曜日、祝日の翌日(日曜を除く)、年末年始
料金:一般520円

住友グループの基礎を確立した広瀬宰平

写真提供/新居浜市広瀬歴史記念館

※週刊ポスト2019年6月28日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

百合子さまは残された3人の仲を最後まで気にかけられたという(2023年6月、東京・港区)
百合子さま逝去で“三笠宮家当主”をめぐる議論再燃か 喪主を務める彬子さまと母・信子さまと間には深い溝
女性セブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン