「保険は転ばぬ先の杖」とはよく言ったものだ。しかし一口に“杖”といっても長さや値段など、数え切れないほどあるうえ、そもそも「歩けるうちは使わない」という人もいるだろう。とはいえ、もし転んでしまったら──?
本紙・女性セブンは、手術や検診、緩和ケアなど、がんの実態を知り尽くしている名医たち13人に、それぞれが「入っているがん保険」について徹底取材。プロが選ぶ「がん保険」とはどういったものなのだろうか。ただ、13人中6人は「がん保険には加入していない」と回答したのだ。理由は、「受けるメリットがはっきりしていない」や「がん家系ではない」などに加え、1か月あたりの医療費の上限が決まっている「高額療養費制度」があるだけに、保険は必要ないといった声だ。
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とはいっても、「がん保険に助けられた」という医師の声もある。『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム)の著書がある、あおき内科さいたま糖尿病クリニック院長の青木厚さんは、こんな体験を話す。
「私自身が40才で舌がんになったのですが、その時入っていた保険に助けられた。入っていたのはアフラック『新・健康応援団がん保険』。当時、まだ大学院生の身分で、主な勤務先である大学病院からの収入はゼロ。アルバイトだけで稼ぎを得ており、生活費にも困るような状況でしたが、保険金200万円が迅速に振り込まれて、とても助かった。月々の保険料も4000円少々と手頃でした」
星子クリニック院長の星子尚美さんも「情けは人のためならず」と保険に助けられた過去を振り返る。
「お金がない時期でしたが、保険会社勤務の知人に頼まれて、彼女を助けるつもりでがん保険に加入しました。その時はまさか自分が…と思っていたのですがそれから約7年経った2006年、乳がんになってしまった。ですが、保険のおかげで入院費や手術費などほとんどまかなえました。
がんになると、純粋な治療費だけでなく、病院に通う交通費をはじめとするこまごまとした費用が意外と家計を圧迫するし、治療中に仕事を休まなければならないかたも多いのです。患者さんの中にも、助かるはずなのにお金がなく、治療を断念せざるを得ない人もいらっしゃる。貯金があるならいいのですが、お金がない人ほど入っておいた方がいいと感じました」