古河財閥の古河家・3代目当主である古河虎之助によって造られた庭園と洋館が、東京・北区西ヶ原に残る「旧古河庭園」だ。かつては明治の元勲、陸奥宗光の邸宅があった場所だが、陸奥の次男・潤吉が古河財閥創始者の養子(後に古河家2代目当主)になったことから古河家の所有となった経緯がある。
大正6(1917)年に完成した園内の洋館と洋風庭園は、イギリスの建築家ジョサイア・コンドルが設計を担当。洋風庭園から続く池泉回遊式の日本庭園は、京都の庭師・小川治兵衛が作庭し、大正8(1919)年に完成した。建物も庭園も竣工当時の姿を保ち、春と秋にはバラが庭に咲き誇る。コンドル晩年の傑作といわれる洋館の主構造は煉瓦造り、外壁は神奈川・真鶴産の新小松石(安山岩)の野面石積みで覆われ、重厚な雰囲気を醸し出している。
古河財閥が戦後の財閥解体で手放した後、現在、庭園は東京都、洋館は大谷美術館の管理となっている。
【旧古河庭園】東京都北区西ヶ原1-27-39
〈庭園〉
営業時間:9時~17時(入園は16時半まで)
休日:年末年始
料金:一般150円、65歳以上70円
〈洋館〉
見学は原則、往復はがきで大谷美術館に申し込むガイドツアーのみ(申込者が30人に満たない場合は、当日、現地で受け付けることもある)。
休日:不定(HPなどで要確認)
料金:一般800円
※週刊ポスト2019年6月28日号