デビュー55周年を迎えた小林幸子(65)の代名詞と言えば、豪華すぎる衣装。NHK紅白歌合戦における美川憲一との「豪華衣装バトル」は、大晦日の風物詩とも謳われ、ネット上では「ラスボス」とも称されるが、高額な衣装代はすべて自腹だという。小林幸子の短期集中連載の第2回では、なぜ豪華衣装に身を包み続けるのか、その舞台裏を明かす。
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「隣の芝生は青い」とはよくいったもので、他の人のことは何かと気になるものです。自分がうまくいっている時はいいのですが、そうでない時は余計に気になります。特に歌手は、CDの売り上げやチャートで常に比べられますから、気にするなといっても気になってしまう。私もそうでした。
でも、いつからだろう? 他人のことがあまり気にならなくなったのは。きっと、目の前のことにがむしゃらになってからかな。目の前のことに集中していると、他人と比べる暇なんてなくなってくるんです。
たとえば、私にとっては、かつての紅白の衣装がそうでした。最初にド派手な衣装を身につけたのは、1981年、『迷い鳥』を歌った時。それまで、私だって普通のドレスだったんですよ。
『迷い鳥』の時は「鳥」をイメージして、手を広げると、鳥が大きな翼を広げたように見える衣装を作りました。私が言うのもなんですが、広げた時のスパンコールがとてもきれいで、観客の皆さんのため息がたしかに聞こえてきました。審査員の方々もニコッと笑顔になった。「あ、これだ」と思ったんです。
この感覚に、それ以来、ヤミツキになってしまいました(笑)。