国内

がんセンター名誉総長 がんは早期なら「どうってことない」

がん治療の権威、垣添忠生さん(撮影/矢口和也)

 国立がんセンター名誉総長の垣添忠生さん(78才)は長年にわたって日本のがん政策をリードしてきたがん治療の権威だ。だからこそ、「人はがんを克服できない。共生を目指すべきだ」という言葉に、特別な重みがある。そして、自身も大腸がんや腎臓がんを患い、最愛の妻・昭子さん(享年78)をがんで亡くした。がんと向かい合い続けた“求道者”が語る「がんと生きる方法」とは──。

 厚生労働省の統計によれば、がんは日本人の死因の1位であり、昭子さんのように闘病の末に亡くなる人も多い。しかし、その一方で「治る病気」にもなりつつある。

「もちろん、進行がんや肺の小細胞がん、すい臓がんなど、治すことが難しいがんもあります。しかし、検診を受けて早期発見できれば、多くの場合は“どうってことない病気”でもあるのです。だから私は、早期発見できた人には『おめでとう』と申し上げている。実際、私も大腸がんと腎臓がんを早期発見で治療して、この通り元気です」(垣添さん・以下同)

 実際、がんの生存率は、1990年代後半から上昇を続けている。だが、「依然として『がん=死』というイメージが根強く残る」と垣添さんは問題視する。

「よく、がんを『公表する』『告知する』といいますが、ほかの病気ではあまりそういった言葉を使わない。高血圧や糖尿病で亡くなる人もいるのに、おかしな話です。年々、生存率は上がり、完治せずとも、治療しながらがんと共生する人も増えています。それなのに、がんを特別視する風潮は、昭和の頃から変わりません」

 政治生命を失いたくないと、がん治療に通う政治家が一様にマスクで顔を隠していた時代もあったが、1月に竹下亘衆院議員が、食道がんを明らかにしたように、意識も変わりつつある。著名人でも、白血病で闘病中の競泳・池江璃花子選手や、舌がんと食道がんの手術を受けたタレント・堀ちえみなど、がんであることを明かすことは当たり前になった。だが、いまだに社会の無理解や偏見が残っているという。

「『あそこの家から嫁をもらうとがんになる』と根拠のない差別を受けることもありますし、職場で治療のために有給取得を申し出ると、嫌な顔をされることもあります。治療をしながら働き続けることだってできるのに、がんだというだけで解雇されることもあります」

※女性セブン2019年7月4日号

関連記事

トピックス

精力的な音楽活動を続けているASKA(時事通信フォト)
ASKAが10年ぶりにNHK「世界的音楽番組」に出演決定 局内では“慎重論”も、制作は「紅白目玉」としてオファー
NEWSポストセブン
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
気になる「継投策」(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督に浮上した“継投ベタ”問題 「守護神出身ゆえの焦り」「“炎の10連投”の成功体験」の弊害を指摘するOBも
週刊ポスト
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン