ロングセラーを続ける“10円駄菓子”の「うまい棒」が今年発売40周年を迎えた。「チーズ」や「カレー」といった定番に加え、いまでも毎年1~2種類の新しい味を生み出しているのは、うまい棒ほかスナック菓子の企画・販売を手掛ける株式会社やおきんだ。なぜ、うまい棒は40年も不動の人気を保つことができたのか──。社長の角谷昌彦氏(55)に、これまでの歴史や苦労を振り返ってもらった。
──うまい棒は1979年に「ソース味」「サラミ味」「カレー味」を発売したのが最初ですね。
角谷:はい。私はまだ高校生でしたが、父親がそれ以前からスナック菓子の開発に携わり、新しい味の駄菓子を作ろうと試行錯誤していました。
当時、コーンスナックはすでに「カール」(明治)なども発売されていましたが、どれも定番の味は「チーズ」か「カレー」だったので、少し変わった味付けにしたいと開発したのが「ソース」や「サラミ」です。棒状にしたのも当時は珍しかったですしね。
──子どもの時に「サラミ味」を食べたときの感動は今でも覚えています。
角谷:先代は、サラミなんて大人のツマミだから受けないのでは? と思ったり、1982年に発売した「めんたい味」も、辛めの味付けだったうえに、めんたいこ自体が関東ではまだ知られた食べ物ではなかったので、本当に売れるのか半信半疑だったそうですが、実際に発売したら子どもたちが喜んで食べてくれたので、非常に嬉しかったと聞いています。
──「子ども=甘いもの好き」「大人=しょっぱいのが好き」という固定観念を良い意味で崩したのが、うまい棒だったのかもしれませんね。
角谷:そうですね。確かに甘い種類でいうと、2006年に出した「キャラメル味」は、中にチョコクリームも入れてバランス抜群のおいしさで絶対に売れると思ったのですが、イマイチでしたし、「ココア味」(2006年)も思ったほど人気にはなりませんでした。唯一、2013年に出した「シュガーラスク味」がようやく定着してきたぐらいです。