JR中央線の神田~御茶ノ水間には、明治45(1912)年に開業し、東京随一のターミナルとして繁栄した万世橋駅があった。その遺構が残る赤レンガ造りの万世橋高架橋は現在、商業施設「マーチエキュート神田万世橋」として街に賑わいを創出している。
過去と現代が交錯する名所を、フリーアナウンサーの松本圭世さんが散策した。
「建物の至る所に、100年以上前とは思えないオシャレな装飾やデザインが見られますね。当時の職人さんたちの意気込みや遊び心が感じられます」(松本さん)
開業年の西暦から「1912階段」と名付けられた階段を昇りながら、感嘆の声を上げる。当時の姿をほぼとどめており、実際に歩くことができる。階段には花崗(かこう)岩が使われ、壁面下部には優美な装飾が施されている。壁のタイルには半筒状に丸みを帯びた覆輪目地(ふくりんめじ)というデザイン性に富んだ施工が見られる。