厚生年金の加入者が病気やケガで障害を負えば、65歳の年金受給開始前でも障害厚生年金と障害基礎年金を受け取れる。重要なのは、初めて病院にかかった日だ。社会保険労務士の北山茂治氏が語る。
「初診日に厚生年金に加入していれば、その後定年退職しても障害厚生年金を受け取れます。ただし定年後に病気が見つかった場合、支払われるのは障害基礎年金のみです」
障害年金が受け取れる「病気」はさまざまだ。脳梗塞・脳腫瘍、肝硬変、人工透析、がん、うつ病・統合失調症などの病気で症状に応じて支給される。請求書に添付する診断書は書式が決まっており、医師が記入した「障害の原因となった傷病名」の欄にある病名を書く。
ここでは、1961年(昭和36年)生まれで現在58歳の大卒男性、配偶者あり(子供は成人)、厚生年金加入歴36年、平均標準報酬月額30万円という人のケースで、障害厚生年金がいくらもらえるか見てみよう。
・2018年に人工透析が必要になったケース(2級)では、障害厚生年金額は92万3417円、配偶者加給年金額22万4500円、障害基礎年金額78万100円の合計で192万8017円(年額)となる。
・同モデルで2018年に人工肛門を設置したケース(3級)では、配偶者加給年金と障害基礎年金がつかないので、障害厚生年金額92万3417円となる。
このケースからわかるように決して小さい額ではない。障害年金を請求する際は、初診の医療機関に「受診状況等証明書」を依頼して、「病歴・就労状況等申立書」などの書類をそろえる。必要書類は以下の通り。
・年金手帳
・戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明書、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか
・医師の診断書
・受診状況等証明書
・病歴・就労状況等申立書
・金融機関の通帳等
・印鑑
(配偶者がいる場合はその収入が確認できる書類なども必要)
提出先は原則、障害基礎年金が市区町村の役所の年金課、障害厚生年金が年金事務所となる。
受給者の収入によって生計を維持されている65歳未満の配偶者がいれば、障害厚生年金にも加給年金(年額22万4500円)が上乗せされるので、必ず申請する(1級、2級の場合)ようにしたい。
※週刊ポスト2019年7月5日号