気温が高くなるとともに食べたくなるのが「そうめん」。そこで、小麦粉研究の第一人者・山田昌治さんが、科学の力を応用してそうめんの秘密を徹底解剖。そうめんに関する様々な疑問に答えます。
【プロフィール】
工学博士・山田昌治さん/工学院大学先進工学部応用化学科教授。日清製粉(株)勤務を経て現職。メディア出演多数。7月16日には新著『麺の科学』(講談社)が発売予定。
そうめんの原材料はおもに小麦粉と塩、水、植物油。
「日本のそうめんの7~8割は、ほどよい食感で香りがよく、そうめんに最適なオーストラリア産小麦粉を使用。粉の品質でおいしさが決まります」(山田さん、以下同)
「そうめん」と「冷麦」は、材料はほぼ同じだが、その差は細さにある。
「そうめんは直径1.3mm未満、冷麦は直径1.3mm以上1.7mm未満。そうめんは0.9mm前後が多く、束で食べたときの独特の食感は細さのおかげ」
そうめんのなかにも太い麺のものと細い麺のものがある。太い麺はモチモチ感が魅力だが、細い麺は?
「つゆが絡む量は麺の表面積に比例します。太さ0.4mmの熊本の『ゆきやぎ』は、0.9mmのそうめんよりも2倍のつゆが絡むことが研究でわかりました」
いろいろなそうめんの種類があるが、おいしさで選ぶなら「手延べ」だという。
「手延べは材料を練り合わせた後、食用植物油をかけながらゆっくり引き延ばし、途中で生地を休ませる手間のかかる製法。その間に化学反応が起こり、歯ごたえとコシが生まれます」
また、そうめんは保存食としても優秀だ。
「乾麺は冷暗所で保管をしておけば、去年のものもおいしく食べられます。ゆでたそうめんは食品保存袋に入れて冷凍し、食べるときに軽く湯がけするのがおすすめです」
撮影/小澤晶子
※女性セブン2019年7月11日号