「どんどん自分の手元から離れていく、そんな寂しさがありますね。結婚式での母親の気持ちはこんな感じなのかな。息子をお嫁さんに取られちゃうような……(笑い)」
約2000人が祝福に駆けつけた貴景勝(22)の大関昇進披露宴(6月16日)で、会場の片隅より壇上の息子を見つめながら、母・佐藤純子さん(52)が語った。
「最初は正直、大相撲でどこまで通用するのだろうという思いがありました。体の小さい子ですからね。十両の昇進パーティで初めて、関取になれたんだと安堵したのを覚えています。それがこうして大関の地位、それも22歳の若さで昇進できるなんて夢のようです」
純子さん自身の相撲との出会いは幼い頃にまで遡る。父親(貴景勝の祖父)の会社に相撲部があり、子供の頃は父親の膝の上に座って相撲中継を見ていた。そのため、
「相撲に関しての抵抗感はありませんでした。でもまさか自分の子供が力士になるなんて、想像もしていなくて(笑い)」
貴景勝を相撲の道へ導いたのは父の一哉さん(57)の影響だ。スポーツ重視の教育で、小学生の頃には相撲、空手、水泳、サッカー、体操、柔道と6つのスポーツクラブに所属させていた。だが純子さんは反対に、子供が生まれる前から幼児教育プログラムを準備していたほど、勉強重視の教育ママ。結果、貴景勝は小学1~2年生の頃に6つのスポーツクラブと、3つの学習塾に通う生活を送った。