ライフ

七夕祭りの歴史 「タブー破れば制裁」もあった

七夕祭りの歴史を紐解くと…

 短冊に願い事を書いて笹の葉に飾る。誰もが子供の頃から親しんできた七夕祭りが今年も近づいてきた。彦星と織姫が年に一度だけ会える日──そんなロマンチックな伝説とはかけ離れた「七夕祭りの真実」を、歴史作家の島崎晋氏が紐解く。

 * * *
 7月7日の七夕は短冊に願い事を書いて竹の枝葉に飾る行事。今月5~7日に開催される「湘南ひらつか七夕まつり」や8月6~8日の「仙台七夕まつり」のように、様々なイベントと合わせた大掛かりなものもあるが、全国的にみれば、竹林のある寺社の境内に屋台が並ぶくらいである。

 だが、七夕は非常に古くからある行事であり、本来は旧暦7月7日あるいはその前夜に行なわれていたもの。現在の暦に換算すれば、8月の酷暑の盛りにあたり、行事内容も大きく違っていた。

 現在の一般的な理解では、7月7日は彦星と織姫が一年に一度だけ会うことを許された日となっているが、この話自体は中国伝来のもの。日本ではこれに盆行事の準備としての意味合いと民間習俗が加わり、主に東日本の農村社会で独自の行事が形成された。

 明治以降の近代化の波に押され、さすがに現在では見られなくなった日本独自の七夕とはどんな行事だったのか。日本民俗学の創始者である柳田国男(1875~1962年)が全国から収集した伝承をまとめた『年中行事覚書』という著書の中に「眠流し考」と「犬飼七夕譚」という章を設け、多くの具体例を取り上げているので、それを手掛かりにするとしよう。

 まずもっとも広く普及していたのは、7月7日の朝、畑に入ってはならないとの言い伝えで、そのタブーを犯せば作物に害虫がつくとか雑草が生い茂る、または当人が病気になるなど何らかの制裁が下ると言われていた。

 信州の南安曇郡(現在の長野県安曇野市と松本市の一部)では家ごとに少しずつ伝承が違っており、入っていけない場所を野菜畑や蔓物の畑、夕顔の畑、ササゲ(マメ科の一年草)の畑など、作物を限定しているところが面白い。

関連キーワード

関連記事

トピックス

過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
初めて沖縄を訪問される愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
【愛子さま、6月に初めての沖縄訪問】両陛下と宿泊を伴う公務での地方訪問は初 上皇ご夫妻が大事にされた“沖縄へ寄り添う姿勢”を令和に継承 
女性セブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
“極度の肥満”であるマイケル・タンジ死刑囚のが執行された(米フロリダ州矯正局HPより)
《肥満を理由に死刑執行停止を要求》「骨付き豚肉、ベーコン、アイス…」ついに執行されたマイケル・タンジ死刑囚の“最期の晩餐”と“今際のことば”【米国で進む執行】
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン