福岡県久留米市の筑後川沿いには、鰻屋が点在し、人気を集めている。なかでも老舗の「富松うなぎ屋黒田本店」は、休日ともなれば行列が絶えない。
客の7~8割が注文するというのが「セイロむし」(2400円~)だ(写真は特上・3300円)。使うのは国産の鰻のみ。開いた鰻は串を打たず、一尾ごとに様子を見ながら備長炭を主体にした炭で焼き上げる。そして、ご飯に鰻のエキスが入った秘伝のタレを混ぜ、じっくり米一粒一粒になじませる。その上に蒲焼をのせて蒸籠で約10分蒸すと、鰻もご飯も熱々、ふわふわだ。
3代目・富松邦康さんのおすすめは「セイロむし特上」(3300円)。蒲焼をのせるだけでなく、ご飯の中にも入れて蒸す。「本当に美味しかですよ」と、富松さんの言葉通り、鰻の旨みがしっかり米に染み出し、味わいの奥行きが深く、濃くなる。鰻を食べなれた筑後の人々にも格別の一品だ。
■富松うなぎ屋 黒田本店
住所:福岡県久留米市大善寺町黒田83-6
営業時間:10時~20時45分(L.O.)
定休日:第1・3水曜(ただし、7月8月は無休の予定)
※予約不可
●取材・文/牛島千絵美、撮影/松隈直樹
※週刊ポスト2019年7月12日号