コラムニストのジェーン・スーさんと脳科学者の中野信子さんが膝を突き合わせて話し合った対談集『女に生まれてモヤってる!』が刊行された。話題を集めている同書の中から一部を紹介する。今回は、多くの男性が女性の容姿にこだわる理由について。中野さんによると、オスが重視するのは顔の善し悪しではなく、体のアノ部分でした!
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スー:好きになる相手の容姿に強くこだわるのって、男性のほうが多い気がするんだけど、どうかな。確かに面食いを自称する女性も多いけれど、結婚相手に選んだ人は別にイケメンじゃなかった、みたいな例はいっぱい知ってる。
中野:そもそも女性と男性では、異性を選ぶときに活動する脳の働きが違うんだよね。実は多くの女性は、あんまり相手の外見を重視していない。女性は前頭葉にある機能で、振る舞いや雰囲気で好ましく思う相手を判断しているらしい。じゃあ一方で男の人はどこで相手を選んでいるかって言うと、これは完全に視覚なんですよ。だから、「ただしイケメンに限る」っていうテンプレ(紋切り型)は完全なる誤解。「ただし美人に限る」という男側の認識が強いから、女もそうだろうと思い込んでいるんでしょうね。
スー:男性が容姿にそこまでこだわる理由は何なんだろう?
中野:進化上、容姿にこだわらなきゃいけない理由があったんでしょうね。これまでの人類の歴史では、子孫を多く残して、その子孫が多く生き延びた人がさらに生き延びているわけだから。どんなに強くて優れていても、子どもを残さなかった人の遺伝子はそこで終わり。次の世代には残らない。だから、今生き延びている人の遺伝子はとりあえず今の勝利者とも言える。そこを踏まえた上で、男の人の異性の選択基準が視覚だったということは、そう選ぶことが適応的だったということになる。ただし、かつてヒトのオスがメスを選ぶときの視覚の基準としては、顔の美醜よりもくびれがある体型だということのほうが重要だったというのが研究者たちのコンセンサス(合意)としてはあるようです。
スー:おっぱいよりくびれなんだ? お尻の大きいメスが魅力的とされていたけど、二足歩行になって前からお尻が見えなくなったからおっぱいの大きさが重要になったって話を聞いたことがあるけど。
中野:お尻が大きいって、つまりくびれがあるということにもつながるんですよ。ウエストとヒップの比率を指すウエストヒップレイショ(WHR)という有名な指標があるのですが、このWHRが0.6〜0.7の範囲に入る女性の子どもたちと、そうでない女性から生まれた子どもたちのIQを比較すると、WHRが0.6〜0.7の女性から生まれた子どもたちのほうがIQが有意に高かったんです、なぜか。