平成の30年間でコンビニエンスストアの存在は、日本人の消費行動を大きく変えた。生活必需品を取り揃え、全国津々浦々で24時間365日休むことなく営業するコンビニは、いまや日本人にとって「あって当たり前のライフライン」となった。しかし令和時代を迎えたいま、そのスタイルは大きな岐路を迎えている。店舗数の増加に陰りが見え、人手不足の中で代名詞だった「24時間営業」の難しさも露呈しつつある。コンビニ最大手、セブン-イレブン・ジャパンはこの「難局」にどう対峙していくのか。4月に就任したばかりの永松文彦社長(62)に訊いた。
──このインタビューシリーズでは、まず「あなたは平成元年(1989年)に何をしていたか」を伺います。
永松:私は1980年入社ですから、ちょうど10年目ですね。それまではOFCと呼ばれる店舗経営相談員を福島県の会津地区で4年、千葉県の市川地区で1年半ほど経験し、平成になる直前から社員トレーニングを担当していました。
入社3年ぐらいまでの社員を対象に、加盟店の経営数値を分析し改善をアドバイスする、店舗経営相談員としての業務を指導するのが主な仕事です。現在の経営陣の中にも何人か、私が直接指導した者がいます。
──セブン-イレブンに就職したのはなぜですか?
永松:大学3年の頃、深夜にお腹が空いた時に何か食べたいと思っても、当時は夜遅くまでやっている飲食店なんてほとんどなかった。そんな折にセブン-イレブンを見つけたんです。「この時間に、こんなに商品が揃っているなんて」──その衝撃は大きかった。それで翌年、就職試験を受けようと思ったんです。
その頃、セブン-イレブンの国内店舗数は600~700店ほどしかありませんでしたが、就職説明会で「ここだ!」と思った。街の酒屋さんなど中小小売店の活性化の役に立てる仕事であり、加盟店オーナーと二人三脚でやっていくビジネスモデルに将来性を感じたのです。