チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世は6月下旬、チベット亡命政府の本部があるインド北西部のダラムサラで、英BBC放送のインタビューに応じて、トランプ米大統領を批判した。ダライ・ラマは、「いまのアメリカの大統領は道徳心が足りないようだ。早く『アメリカ・ファースト』という主張を撤回すべきだ」と語ったのだ。
ダライ・ラマは1989年ノーベル平和賞受賞後、米ホワイトハウスで歴代の米大統領と必ず会談しているものの、大統領に就任して約2年半が経過するトランプ氏とはまだ1回も会っていない。このため、トランプ氏が経済的な利益を重視した「アメリカ・ファースト」主義を掲げ、民主化や宗教の自由などの価値に関心を示さないことに、ダライ・ラマが怒りとともに焦りを感じているとの見方をBBCのインタビューアーは示している。
ダライ・ラマは会見のなかで、「アメリカ・ファースト」について、「彼(トランプ大統領)は大統領になってから、アメリカ・ファーストを強調しているが、これは間違いだ。アメリカは国際的な責任を担うべきだ。トランプ大統領は感情的であり、少しばかり複雑な(性格の)ようだ」と指摘した。
これについて、ダライ・ラマをインタビューしたBBCのラジニ・ヴァイディヤナザン南アジア特派員は、自身のツイッターでこう指摘した。
「非常に重要なことは、ダライ・ラマはこれまでトランプ大統領と会っても話してもいないことだ。なぜならば、ダライ・ラマはこれまでのオバマ大統領やジョージ・W・ブッシュ大統領とは強い関係を築いてきた。ブッシュ氏にいたっては、ダライ・ラマを慕うあまりダライ・ラマの絵を描いているほどだ」
ダライ・ラマはトランプ大統領のほか、欧州諸国のリーダーが移民に否定的なことについても批判的で、「移民を受け入れて、教育を受けさせるべきだ。ただ、そのあと、自分の国に返すようにすればよい」などと主張した。