大相撲の横綱は前半戦で小結や前頭3~4枚目までの力士と対戦するのが慣例。そこで、血気盛んな若い力士たちが、横綱在位場所数など数々の“歴代1位”の記録を誇る34歳の横綱・白鵬を、名古屋場所で引退の瀬戸際に追い込む可能性がある。いったいどんな顔ぶれなのか。
白鵬は東前頭筆頭で先場所初優勝した朝乃山や、6月に結婚披露宴を行ったばかりの新小結・竜電に続いて、八角理事長(元横綱・北勝海)の愛弟子で部屋頭の北勝富士(前頭1)やガチンコ力士として知られる碧山(あおいやま、前頭2)、遠藤(前頭2)、正代(しょうだい、前頭3)などとの対戦が続くと考えられる。そうした平幕上位のなかで注目されるのが25歳の若手・大栄翔(前頭3)だ。
「白鵬は全勝優勝した春場所で、3日目まで危なげない相撲を続けていたが、4日目の大栄翔戦がヒヤリとする一番になった。土俵際まで押し込まれ、最後は土俵を飛び出しながら両手で大栄翔の頭を押さえて辛くも勝つ一番となった。そこから調子がおかしくなったのか、千秋楽まで危うい取組ばかりになった。その苦手意識が白鵬の脳裏にも残っているはず。何より、若い大栄翔は白鵬の全盛期を知らない。恐怖心がないぶんチャンスがある」(協会関係者)
大栄翔にとって埼玉栄高校の後輩にあたる大関・貴景勝が、カド番ながら休場に追い込まれ、場所後の陥落が決定的になった。「5時間にもわたる千賀ノ浦親方(元小結・隆三杉)との話し合いの末、強行出場が却下された。この無念の休場も、大栄翔にとっては発奮材料になるのではないか」(同前)とみられている。
※週刊ポスト2019年7月19・26日号