芸能

増加する素人メイン番組 キャラ引き出すマツコら進行役の技

マツコ・デラックス

 バラエティーの新たな傾向として、「一般人がメイン」になる番組が増えている。素人たちの面白いキャラが引き出される背景について、コラムニストのペリー荻野さんが解説する。

 * * *
 先日、このコラムで「テレビカメラが一般人の家に行く番組が増えた」と書いたが、一般の人がメインになる番組も目立っている。『マツコの知らない世界』(TBS系)、『激レアさんを連れてきた。』(テレビ朝日系)、そして、7月から「今まで深夜にひっそりとやっていた」という『かみひとえ』(テレビ朝日系)もネオバラ枠に新登場した。
 
『マツコの知らない世界』は、タレントも出演しているが、ゲストの基本は特定のジャンルにとても詳しい一般人。「室外機の世界」では、「室外機には高度な機能がある」「メーカーによりこれだけの違いがある」とその奥深さを語り、「種ありぶどうの世界」では「農園で多品種を育ててはいるものの、家計が苦しい」と言い出してマツコに「それでいいのか」と呆れられる。その道にハマった人の情熱に驚くが、それ以上に「室外機」「盆踊り」「ゆで玉子」「おみくじ」などがハマるジャンルとして存在していることにも驚く。
 
『激レアさん~』は、オードリーの若林正恭と弘中綾香アナ、タレントの客員研究員ふたりが、「医師からハリウッド映画監督になった人」「歌舞伎町で極道に占領されていたホテルから極道を一掃し、売り上げを日本一にした女支配人」など、すごい体験をした人をスタジオに呼び、その経緯を聞く。

 この番組の特長は、内容はとてつもなく劇的なのに、時々かっくんとなるほど、緩む瞬間があること。たとえば「少年時代、山の中で8日間遭難した」ジュンタロウさんを紹介する際にも、手書きボードに「山を見るだけでごはん三杯いける」と表記。本当かと聞かれたジュンタロウさんは、あっさり「言ってないです」。…ですよね。

 そして、『かみひとえ』では、人々(プロも含む)が動画で自慢の技を紹介。博多華丸・大吉、ココリコとゲスト二人の全員が「スゴイ」と判定すると、スタジオで実際に技を披露できる。初回には、「人間鯉のぼり」((ポールにつかまって、体を水平に支え続ける)の 東大卒パフォーマーなどが、見事「スゴイ」を獲得した。

 こうした番組を見て思うのは、ゲストの一般人がとても落ち着いて見えること。それは動画制作などで「発信慣れ」している影響もあると思う。しかし、よくよく見てみると、やはり、進行役のマツコ、若林、ココリコ、博多華丸・大吉が、ゲストの話やキャラクターの面白さをうまく広げているのである。

 動画投稿で“すごいネタを持つお宝一般人”と番組制作者は直結した。芸人やタレントが争うように自分の話をする番組は飽和状態だし、一般人出演は増える可能性が高い。ただし、安易な作りでは、動画慣れしている視聴者からは支持されない。かつて、一般人出演番組の名司会者に「出演者の話の順番が多少打ち合わせと違ってもいいと自分は鷹揚に構えつつ、相手をよく見て気を配った」と聞いて、プロの技だと感心したことがあった。確かにいい進行役は、相手をよく見ている。お宝一般人の面白さをどう印象付けるかは、結局、プロの進行技にかかっているのだ。

関連記事

トピックス

タイと国境を接し、特殊詐欺の拠点があるとされるカンボジア北西部ポイペト。カンボジア、ミャンマー、タイ国境地帯に特殊詐欺の拠点が複数、あるとみられている(時事通信フォト)
《カンボジアで拘束》特殊詐欺Gの首謀者「関東連合元メンバー」が実質オーナーを務めていた日本食レストランの実態「詐欺Gのスタッフ向けの弁当販売で経営…」の証言
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
まさか自分が特殊詐欺電話に騙されることになるとは(イメージ)
《劇場型の特殊詐欺で深刻な風評被害》実在の団体名を騙り「逮捕を50万円で救済」する手口 団体は「勝手に詐欺に名前を使われて」解散に追い込まれる
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン